◆福祉用具の「ひやり」学ぶ
車いすや電動ベッドなどの福祉用具を使用中、お年寄りが危ない目に遭うことが多い。「ひやりはっと」した体験から学んで、事故防止につなげようと専門家はアドバイスする。
福祉ジャーナリストの東畠弘子さんは2年前から、福祉用具事業者などを調査して「ひやりはっと」体験を集めている。200件近い事例の大半が車いすとベッドの周辺で起きていた。
多い事例の一つが「車いすのブレーキのかけ忘れ」。乗り込むときに車いすが後ろに動き、尻もちをつきそうになるのだ。
車いすの整備不良からくる事例もある。タイヤの空気圧が低いと、ブレーキをかけたつもりでも利きが甘くなり、車いすが動いてしまう。「タイヤの空気圧のチェックは欠かせません」と東畠さん。
車いすと並んで多いのが、ベッドまわりの事例。「ベッド柵を乗り越えて転落」するケースが少なくない。
「認知症のお年寄りが柵を越え転落する場合は、ベッドの高さ自体を低くするよう見直してみては」と東畠さんは指摘する。柵を越えても足が床につけば、転落はしないからだ。最近は床上25センチ程度にまで下がるベッドもある。
電動ベッドを上げている時に、腕などを柵の間に挟んでしまうケースも多い。布団でお年寄りの体が見にくいためで注意したい。
ベッドの柵をめぐる事故については、メーカーなどでつくる医療・介護ベッド安全普及協議会でも、ホームページ(http://www.bed-anzen.org)で注意を呼びかけている。
東京の居宅介護支援事業所「ナイスケア」のケアマネジャー水下明美さんも、「福祉用具の周辺、思わぬ場所で、ひやりとするケースがある」という。例えば手すり。ゆったりした袖口が、棒状の手すりの端にひっかかり、お年寄りが転倒しそうになることもある。また、つえの先のゴムが摩耗し、歩行中に滑ってしまうケースもある。
こうした「ひやりはっと」体験の背景には、高齢者や家族が福祉用具の使い方をわかっていない現状がある。
東畠さんの昨年の調査では、福祉用具を使っている高齢者、家族698人のうち、「使い方・操作を忘れて困った」が68人(9・7%)、「体に合わなくて困った」が45人(6・4%)いた。ところが、困ったことがあった人のうち、約3割が「そのまま使い続けた」と答えた。どうしたらいいかわからず、そのままにしてしまうのだ。
東畠さんは、「『ひやりはっと』したら、まずケアマネジャーや福祉用具事業者に、福祉用具の使い方について相談してほしい」と話す。
福祉用具アドバイザーの堤道成さんは、「どんな『ひやりはっと』があるか、あらかじめ考えておくと、事故防止になります」と話す。例えば、車いすを押しているときに「坂道で止めると車いすが動き出してしまうのでは」「マンホールで車輪がすべってしまうのでは」などと考えて行動することで事故を避けることができる。
(読売新聞2009/5/8記事より抜粋)
いわゆる「ひやり・ハット」はどんな現場でも重要です。先に先に考えることが必要ですね。
2009年05月08日
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