2009年05月08日

老いても自立した生活

◆老いても自立した生活ができる家とは?

 欧米の老人介護の姿勢に古くからノーマライゼーションという言葉があります。

 老いて介護施設に入るとたちまち病人扱いされ、まさに介護老人となってしまうケースがあります。大勢の老人を抱える施設ではなかなか手が回らず、つい車いすに乗せたままになりがちです。

 自力で動き回れる老人であっても、危険もあり、行方不明になる可能性もあってか、ついガードを固くしてしまう療養施設側の事情もあります。

 これに対してノーマライゼーションとは、できるだけ自然に、今の家に近い形で大きく環境を変えない姿勢、つまり入院したり、施設に入っても普通の生活ができるようにお年寄りを迎えることです。しかし、実際に遂行するとなるとなかなか難しいものです。

 今までなんとか在宅で暮らしていた老人が、つい転んで腰でも痛めてしまうと、その瞬間におおごとです。入院はノーマライゼーションどころか、間違いなく特別の生活です。それでもたとえば骨折が治り、体調が戻りさえすればまた元の生活に戻れます。

 私ごとですが、この正月早々に大腸に異変が見つかり、即入院手術になりました。幸いにして早期の切除がうまくいき、皮膚一重のところで転移を避けることができ、あとは傷が癒えるのを待って無事退院となったのですが……。もし、そのまま長い入院となったらと、やりっぱなしの仕事や家のことなどをあれこれ考え、正直、人知れずびくびくしたものです。

 長い療養生活や終末ケアのための最近の老人施設や介護施設は、大変良くなりました。人によってはこうした施設に入ることはむしろ、1人で家庭に居るよりも安心で、ホッとできるかもしれません。しかし、そうした施設でも老人たちの日常は我慢の連続で、やはり早く家に帰りたいと思うことが多いようです。実際に私が設計のお手伝いをした老人保健施設などでは、リハビリテーションを積極的に行い、精を出すことで早く元気になり、自宅に帰る方が多くいます。

 ノーマライゼーションの考え方は北欧などの老人施設で始まりました。認知症の老人などに対し、今まで自宅で使っていた家具や絵などを持ち込み、普段と変わらぬ環境にして、治療します。たとえば古くから使っていた椅子や食器を置き、1940年代から60年代の音楽を流し、さらに娘や息子たちの、今ではなく幼少の頃の写真を枕元に置く。40〜50年前の環境を再現し、過去の記憶から順に現在に近づけていきます。あらかじめお子さんから借りたアルバムを使って徐々に今日までを再現し、最後に今を認識させるのがノーマライゼーションの環境づくりです。

 在宅でできればよいのですが、家族も大変で、結局は老人ホームや介護施設へとなってしまいます。何かさらによい方法はないものかと、いつもこうした施設や住宅づくりやリフォームの際に模索しています。いわば自立できる家です。
朝日新聞2009/5/8記事より抜粋)

 こういった考え方もいいかもしれませんね。なかなか日本の実情には合わないかもしれません。
posted by fukusistaff at 19:09| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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